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pipal 渋谷宇田川 スタッフブログ

2017-07-18-Tue

ソムリエ 鈴木亮介、生産者を訪ねて。 vol.7

レイモン・デュポン・ファンのムルソーを後に、また少し北へ。
ボーヌの『ファニー・サーブル』の元へ。
早くに父親を亡くし22歳の若さでドメーヌを継承した女性醸造家、ファニー・サーブル。あのフィリップ・パカレの指導のもと、ナチュラルなワイン造りを学んだという逸話は有名です。
年々進化し続けている彼女のワイン、現在進行形のワインはどんな状態に仕上がっているのか。楽しみです。


もう、どちらを見ても葡萄畑で美しい景色。
それから、村に入って行きちょっと入り組んだ道を進んむと、ファニーが出てきてくれました。
予想より遥かに小さな所で少し驚きです。
ちょっと写真が少なくてすいません。
自己紹介と挨拶をさせていただいて、醸造所を見せていただきました。


とても、こぢんまりとしている。
若くして、もはやボーヌを代表する醸造家の印象すらある彼女の醸造所というには小さくて予想外でした。
とても小さなドメーヌだと彼女は言います。
ここで熟成させているのは2016ヴィンテージのワインしかないのだそう、1年分しか保管する場所がないから完成させたらボトリングしてリリースしてしまうんだとか。


ここは地下のセラーで、上の地上階に発酵タンクはあります。
写真中央右から伸びているホースの様な物おわかりでしょうか。
このホースは地上階から伸びていて、発酵してプレスしたワインがこちらを通して地下の小樽に移せる様になっています。ポンプなどを使わずにこうして重力の作用でワインを運ぶ様にすることで液体へダメージを与えない様にしているんです。
こうした方法をグラヴィティシステムと呼びます。
ナチュラルなワインの生産者はグラヴィティシステムを導入している方も多くて、
大きな醸造所になると、収穫したものから発酵タンク、プレス機、熟成タンク、熟成樽とグラヴィティシステムを採用すると地下へ地下へと進んで行く事になります。結果的に地下は低温でセラーにも適していてちょうど良いですが、地下深い設備を設けるのはなかなか大変な事でもあります。


こちらは2016年ブルゴーニュルージュの熟成中の樽です。エチケットにも使われているファニーのイラストがカワイイ。
色々なキュベをテイスティングしながらお話しを聞かせていただきました。


こちらはモンテリールージュ。
ヴァンナチュールがついナチュールらしさを求めてAOC※1 の個性を消してしまうのに彼女は反対な様で、ナチュラルは前提として、テロワールを表現する事に重きを置いています。全くもって素晴らしい考えだと僕も同感です。ナチュールだったらなんでもいいって訳じゃない。ナチュラルな前提の上、テロワールの個性、品種の個性、そして美味しいワインであるという事が大切なんです。

色々なキュベをテイスティングしていくと同じヴィンテージでもやっぱり個体差があります。まだ熟成足りないかなーとか、まだ還元※2 のニュアンスがあるかなーとか話しながら続けます。もう完全に仕上がってる味わいのキュベがあって
「これもう完璧じゃないですか。」
「そうなの、これはもう来月にボトリングしようと思ってる。」
「やっぱり!」
ってなんだか楽しいです。
「レストランはどれくらいの大きさなの?」
「うーん、40~50席位のお店です。大きくもないし、すごく小さいわけでもない、ミドルレンジ。」
「私もワインバーをやっているのよ。」
「えー、びっくり!行きたいです。今日は、営業します?」
「今日はお休みなの。」
「残念〜。」

それから聞いてみたかった事が、
「僕はブルゴーニュのワインが大好きです。ただ年々値段の高騰が進んでいて、なかなか気軽には飲めない物になってきてしまっているし、僕らみたいなカジュアルなレストランではなかなか提供しづらい金額になってきてしまっています。ただ、あなたのワインはまだそれほど高級な訳じゃないです。今後どうなっていくのでしょう。」
「そう、ブルゴーニュのワインは高くなっている。でも私はフィリップみたいに有名ではないしブランドではない。そして気軽にみんなにワインを楽しんで欲しいから高級なワインにしたくは無いの。」
素晴らしいです。有名では無いっていうのは認識次第ですが、彼女は既にかなり認知されているし、これからますます有名にはなっていくでしょう。
ずっと気軽に楽しめたら最高です。ついていきますよ、ファニーさん!

彼女のナチュラルでテロワールも重んじるワイン造りのフィロソフィーはやはり師匠であるフィリップ・パカレから譲り受けていて、そのフィロソフィーはパーフェクトです。
でもファニーの言った、とても印象に残った言葉が、
「私のフィロソフィーはフィリップ・パカレと同じです。でも私はコピーロボットじゃ無い、私の造るワインは私の造るワインなの。」
まだ30代にして誇り高きヴィニュロン※3 。彼女は今後のブルゴーニュを担う存在になっていく事でしょう。ますますファンになってしまいました。


そして恒例の記念撮影をパチリ。
今日はありがとうございました。

「ちょっと、待って。」


「これ、プレゼント。」
って、えー!マジですか?!お土産までいただくだなんて!
しかも見た事の無いキュベ、まだリリースしてない物なんだそうです。
エチケット可愛い!しかもリリース前の超レアアイテムじゃないっすか!

『ファニー・サーブル』今後がますます楽しみです。
今日は本当にありがとうございました。

ちなみに帰国後飲んだ、こちらのキュベはフランボワーズの味わいがとってもキュートで美味しかったです。



※1,AOC:原産地名称保護。その産地の物だとして認められる品質保証。
※2,還元:還元香。酸化防止剤をあまり使わないワインに現れる独特な香り、強い物だと豆やタクアンの様な香りになったりもするが空気に触れていると消えていく。ファニー・サーブルの場合、熟成でボトリングまでに消えていく。
※3,ヴィニュロン:ワインを造る人。


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2017-07-17-Mon

7.18.Tue.ランチメニュー

7/18(火)からのランチメニューの紹介です。

今週のパスタは「自家製ベーコンとツルムラサキのペペロンチーノスパゲッティー」です。手間暇かけて仕込んだベーコンの脂とツルムラサキがマッチします!!

サラダランチのスープの「ガスパチョ」も夏にぴったりでオススメですよー!!
皆様是非食べに来てください!!












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2017-07-09-Sun

ソムリエ 鈴木亮介、生産者を訪ねて。 vol.6

マルセル・ラピエールのボジョレーを後にして一気に北上、
ブルゴーニュのムルソー『レイモン・デュポン・ファン』の元へ。

小さな村に入ったなーという感じで家々の間を進んでいき、
舗装されてない小道を抜けると丘の下を見渡せる所に綺麗な建物が。
敷地に入ると芝生の庭に池があり鯉が泳いでいる。
建物の脇にはプールが。
これはまた、なんて気持ちの良い所だろう。

レイモンが現れて「入ってきて良いよ。」と手招きしてくれた。
Tシャツに短パン、気取らない感じがまた気持ち良いです。
すごく素敵なリビングに通して頂いて、まずは恒例の挨拶と自己紹介をさせていただくと。
早速、


テイスティングに!
ちょっと予想外の展開ですが、まずはアリゴテ※1 から。
テイスティングしながらその畑のテロワール※2 の説明をしてくれます。
畑の説明はアイフォンの地図アプリで場所を示してくれます、今っぽい。
落ち着いていて貫禄はありますがレイモンは僕の3つ下で37歳なんです。
畑は点在して所有しているのでこの日は足は運ばない事に。

このアリゴテがめちゃくちゃ旨い。ミネラル感とフィネス※3 を感じます。
彼のアリゴテは素晴らしい、アリゴテを軽視する方もいますが
彼の説明からはアリゴテへの想いを感じます。

ワイン造りの方法やテロワールを聞きながら次々と色々なワインをテイスティング。
シャルドネも当然旨い、派手なボリューム感とか樽香とかでは全然なくて、
繊細でエレガント、ミネラリーで綺麗な酸味、どこまでも真っ直ぐに続く長い余韻。
とっても上品です。
トゥーマッチな物は要らないと彼は言います。
樽香※4もつけすぎず、シンプルな葡萄の味わいを大切にし、テロワールを大切にしています。

ムルソー※5 を2種類テイスティングさせてもらいました。
同じムルソーで少しだけ離れた畑違いのキュベ。
「ヴィンテージも品種も栽培も醸造も全て同じだよ、どう。」
「違う、どちらも素晴らしいけど、違いますね。」
「ボリューム感も、酸の伸びも個性が違う、全て同じ造りなのに。これがテロワールだ。」
「ミクロクリマ※6。」
「Exactly(その通り)。」
とても面白い、敢えて畑でのフィールドワークも醸造方法も変えずに造る事で純粋にテロワールの個性が楽しめます。彼のテロワールへのリスペクトを感じます。


次のワインをサーブしてもらう間につい部屋の中をキョロキョロしちゃいます。
とてもセンスが良い。
内装なんかも自分でやったそうで、あんまり派手な感じは好みでない様子。


自分でD.I.Y.しちゃう感じとか、派手なものよりシンプルなものを好む感じとか、
pipalを手作りで作った僕としてはなんだか共感してしまいます。
好きなものの方向性が近いような気がする、年齢が近いという事もあるかもしれません。


あ、これなんかお店にぶら下げたいな。
なんて考えてたら庭のプールで遊んでいた息子さんが入ってきて(4~5歳くらいかな?)挨拶をしてくれました。右左の頬にキスのフランス式挨拶でめちゃキュート!


それから、醸造所を見せてもらう事に。
発酵はステンレスタンク。
醸造所もとてもクリーンでシンプルです。
もうこの頃には彼らしいなと思える様になってきました。


プレスはバルーンタイプ※7 、モダンです。
今回の旅であまり出会えてなかったのでなんだかホッとします。


それから熟成。いわゆるブルゴーニュ樽※8 です。とっても綺麗。
リリース待ちのキュベが静かに眠っています。


リビングも醸造所もシンプルでクリーンで、とてもセンスが良くて。


それは彼のワインのエチケットも同じくシンプルでセンスが良い事と繋がります。


最後に恒例の記念撮影を。
ナイキのプリントTが僕の普段着と変わらない感じでなんだか親近感が湧いてきます。

今回レイモンとがっちり2時間位話しをさせていただきました。
沢山話をしながらテイスティングをして感じた事が、
テロワール、葡萄を大切にし、余計な飾りやトゥーマッチな物は要らないという
彼のフィロソフィーがワインの味わいに如実に現れているんだという事。
そして、それだけでなく、知的でセンスが良くて
真っ直ぐに自信を持ってワイン造りをしている彼の個性もまたワインに現れているんだという事を感じました。
ワインの味わいには葡萄の個性、テロワール、そして生産者のフィロソフィー、さらには生産者の個性までもが現れるという事。
このワインはここでしか、また彼にしか造れない味わいになっている。
全てのキュベに一貫した個性がありました。
とても上品でシンプルで、トゥーマッチなものはいらないワイン。
また一つワインへの理解が深まったような気がします。

『レイモン・デュポン・ファン』本当にありがとうございました。







※1、アリゴテ:葡萄の品種。ブルゴーニュでは白葡萄はシャルドネの他にこのアリゴテが栽培されています。酸味が強く、安いワインに使用する事が多い。
※2、テロワール:葡萄を取り巻く、気候、地勢、土壌、など全ての自然環境の事。ワインはテロワールを表すと言われます。
※3、フィネス:繊細、優雅、上品、などを意味する言葉です。ワインの表現によく使います。
※4、樽香:オーク樽で熟成させた事によりワインにつくバニラの様な香り。新樽を使うとより強く表れる。
※5、ムルソー:ブルゴーニュのワイン生産地の一つ。ムルソーのエリアの中の畑の葡萄から造られるワインもムルソーと呼ばれる。エレガントな白ワインが有名。
※6、ミクロクリマ:テロワールをもっと細かいエリアで考えたもの。日本語に訳すと微小気候。ブルゴーニュでは隣の畑でも土壌が違ったりして、その事がワインの味わいに表れます。
※7、バルーンプレス:葡萄を圧搾する機械で中に風船の様な物が入っており、空気の圧力で優しく圧搾する事ができる。
※8 ブルゴーニュ樽:ピエスと呼ばれる228Lのオーク樽。ボルドーではバリックと呼ばれる225Lの樽を使用したりと地方によって呼び名や容量が変わります。


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2017-07-05-Wed

ソムリエ 鈴木亮介、生産者を訪ねて。 vol.5

4日目、今日は3軒の生産者さんとアポイントを頂いていてスケジュールがびっしり。

まずはボジョレー、モルゴン※1、あの『マルセル・ラピエール』の元へ!
自然派ワインが好きな方ならご存知だとは思いますが、
フランス自然派ワインの父と言われるマルセル・ラピエール、彼のワインを飲んで自然派ワインに目覚めたという方も大勢います。
昨日会ったシリル・アロンソもマルセル・ラピエールの『モルゴン』を飲んで、衝撃的で自然派ワイン造りを始めたんだとか。
神なんて言う人もいるくらい偉大な人物であり、そのワインは偉大なのです。
前回のブログで少し触れた自然派ワインの祖『ジュールショベ』はマルセルの師匠にあたります。自然派ワインの生産者の系譜はとても興味深いです。

そのマルセルがこの世を去ってしまったのが2010年。そのニュースに世界中が悲しみました。
そしてラピエール家のワイン造りは長男マチュー・ラピエールが担うようになりました。
偉大な父の後を継ぎ更なる進化を続けるマチュー。
神の子マチュー・ラピエールに会いに行くという事で僕の高揚感は止まりません。ドキドキ、ドキドキ。


オフィスに到着、なんて気持ちの良いところなんでしょう。天気も最高です。
最初に出迎えてくれたのは、


犬でした。木陰で休憩、気持ち良さそうです。
オフィスに通して頂いて恒例のご挨拶と自己紹介をさせていただいて、
僕はソムリエでありシェフでもあると伝えると、「僕も前はシェフだったんだよ。」とマチュー、とっても気さくな方です。
「ワイン造りと料理は似てるよ。同じだから。」と肩をポンと叩いてくれるマチュー。僕の緊張がバレていた様で、マチュー格好いいです。もう僕の心の中ではアニキ!ってなってます(笑)
「早速畑に行こうか、ちょっと離れてるから車で着いてきて。」「ハイッ!」


車にはあの『レザン ゴーロワ』※2のエチケット※3の見慣れたイラストが。赤いバン、カワイイです。


車で畑と醸造所のある場所へ。


畑にはマルセル・ラピエールの文字が。おおぉ。


畑へ、


区画の事、栽培の事など丁寧に教えてくださいます。


こちらのガメイもやはり垣根仕立ての栽培ですね。畑の手入れがしやすい様に通路となる側には枝葉が広がらない様にしてあります。


幹の部分を見ると樹齢の高さが伺えます。季節的にはちょうどフロレゾン※4が終わり、ヌエゾン※5が始まったタイミングです。小さな葡萄がたくさん付いていました。


とっても気持ちの良いところです。で、案内していただいている途中から、


シカゴのレストランの方々も見学に来ていて合流しました。8名程のツアーで来ていてこちらのワインが世界中で愛されている事がわかります。
一通り僕は案内していただいた後だったので「同じ話になっちゃうけどまた聞く?」「イエス、オフコース!」何度でも聞きたいです。


それから醸造所へ。


ちょっと写真わかりにくくて申し訳ないのですが、醸造所の天井が迫力あるアートになってます。情熱を感じます。


こちらは発酵用のステンレスタンク。クリーンですね。


プレスはこちらの巨大な垂直式プレス※6。ここでもまた垂直式でした。そして傍にあるのは木製の発酵樽。マセラシオンカルボニック※7を行うため蓋がびっちりと密閉出来るようになっています。
樽やタンクからプレス機への移動はポンプを使わずに桶で手作業で汲むんだそうです。めちゃくちゃ重労働です、それでもポンプなどでワインへダメージを与えない為の作業なんですね。「一人で全部やるんですか?」「いやいや、一人じゃないよ、さすがに、やめてくれよ。」ってそりゃそーだ、失礼しました。


それから、セラーへ。入口には見慣れたボトル達が。


半地下のセラーはヒンヤリとして薄暗く、静寂が張り詰めた空気で背筋が伸びるような気になります。古樽で熟成中のワイン達がずらり。


いよいよテイスティング。熟成中のモルゴンを樽からいただけるなんて感激です。


今日は人数が多いので順番待ち。次々とヴィンテージ※8違いや、それぞれのキュベを解説付きでテイスティングです。贅沢ですね。テイスティングの間に妹さんのカミーユ・ラピエールも来てくれました。セラーが寒いのでパーカー羽織ってました、さりげなくオシャレです。


シカゴの皆さんが帰られるので、もうこれでおしまいかなと思ったら「ちょっと待ってて、もう少し飲もう。」って嬉しいです!
その後は二人で暫くテイスティングさせていただいて、レザン ゴーロワをテイスティングしたところで聞きたかった質問を、「レザン ゴーロワはバックインボックス※9もリリースしているけど、ボトルとバックインボックスでは違いは現れないものですか?」「味わいは全く変わらないよ、そして環境に優しいという点ではバックインボックスはとても優れているんだ。ただ何年も寝かせておくというのには向いてないからその年に飲んじゃう方がいいかな。」との事。バックインボックスは僕もとてもいい事だと思っていて大賛成なので、嬉しかったです。
とってもいい時間をいただいて最後はやっぱり、


記念撮影を、
マチュー・ラピエールとパチリ。
で、終わらずに、


妹さんのカミーユ・ラピエールともパチリ。
ドキドキして訪問した『マルセル・ラピエール』。
神の子マチューはとっても気さくなナイスガイでした。
本当にありがとうございました!



※1モルゴン:ボジョレー地方、モルゴン村。モルゴンで作られて認証されているワインもA.O.C.モルゴンなのでモルゴンと呼ばれる。ワインは土地の個性を大切にしているので、産地と呼び名が同じになる事が多いです。
※2レザン ゴーロワ:マルセル・ラピエールのワイン『モルゴン』ともう一つのカジュアルラインが『レザン ゴーロワ』というワイン。
※3エチケット:ワインボトルに貼ってあるラベルの事。自然派ワインのエチケットはカワイイものが多いのでボトルを眺めるだけでも楽しいです。
※4フロレゾン:開花の意味。花の咲く時期をフロレゾンと呼びます。
※5ヌエゾン:結実の意味。葡萄の実がなる時期をヌエゾンと呼びます。
※6垂直式プレス:ワインを造る過程で葡萄の実を搾って液体を取り出すための圧搾機には様々なタイプがありますが、こちらはただ真っ直ぐに圧し潰すというシンプルなタイプ。1000年も前から構造は変わらないと言います。
※7マセラシオンカルボニック:ワインのアルコール発酵の方法の一つ。葡萄をそのままタンクなどに入れて、タンク内を炭酸ガスで充満させて細胞内発酵させる方法。主にボジョレー地区で行われる。ボジョレーヌーヴォーはこちらの方法。
※7ヴィンテージ:その葡萄が栽培された年。今畑に育っている葡萄から造られるワインは2017ヴィンテージのワインという事になります。発売が来年でも再来年でも。
※9バックインボックス:ボトルではなく箱に入って売られるワインの事。箱の中にはビニールのバックが入っていて飲みかけでもバック内は真空に保たれます。ゴミも少なく軽量で流通もしやすい。

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2017-06-30-Fri

ソムリエ 鈴木亮介、生産者を訪ねて。 vol.4

さて、ジャン・クロード・ラパリュのブルイィを後にして北上。
ボジョレーエリア内でもマコンにほど近いエリアに位置する、
『シリル・アロンソ&フロリアン・ルーズ』の元へ。
辿り着くと入り口には、


見慣れたP-U-Rのロゴが!ワクワクしますね〜。
ご挨拶をさせていただいて、


早速、アロンソさんに畑を案内していただく事に。
ちょうど日本人の女性が二人、こちらのワイナリーに働きに来ているタイミングで、一緒に案内してくださいました。フランス語が全然ダメな僕としてはメチャクチャ助かりました。


元々はネゴシアン※1としてワイン造りをしていたお二人、有名な [P-U-R] シリーズのワインは全て優秀な栽培家から入手した葡萄で造る、いわゆるネゴシアン物です。
そして2015年にこちらの畑とシャトーを取得して、ドメーヌ物※2の生産も開始したのです。
しかもこちらの畑、元々は自然派ワインの祖とも言われる、かの「ジュールショヴェ博士」が所有していた畑なんです。伝説の土地と言っていいでしょう、つい興奮してアロンソさんに「レジェンドグラウンド!」と言ってしまいました、表現が稚拙です。(笑)

こちらの写真も品種はガメイです。
ワイン学校ではガメイはゴブレ仕立てで針金を使わないと教わりましたが、今回訪問した生産者の方々は皆、いわゆる垣根仕立てで栽培をして、剪定し収量コントロールをしていました。
もうカベルネソーヴィニョンなんかと変わらない仕立てなんです。
凝縮度のある品質の高いワイン造りをしていくとこうなる、っていう事なんでしょうね。


こちらは樹齢の低い可愛いキッズ葡萄ちゃんの区画です。


そしてこちらはもっと可愛いベイビー葡萄ちゃん。


なんとこちら自根の葡萄樹だそうです!
専門的な話になりますがワインの葡萄樹はほとんど全て根っこの部分と幹から上の部分は別の樹です、接木して二階建ての仕組みになっているんですね。フィロキセラ※3という害虫から守るためなのですが、本当は自根で健全に育つのであればそれに越した事はないんです。
アロンソさんチャレンジャーです。素晴らしい!


そしてこれが大変に興味深い物だったのですが、『ビオトープ』と言います。
所有している土地を全て葡萄畑にしてしまわないで、畑の間に所々草とか枝とかを放り込んだこうした草むらのような区画を作っているんです。
これはウサギなどの動物たちや虫なんかが生息できるための場所として用意しているそうで。ナチュラルなワインを造るためには畑をオーガニックにするだけではなく、周囲の自然環境や生物と共にある事が重要だという考え方なんです。「全部畑にしちゃったら動物たちが行くところなくなっちゃうだろ?」ってナチュラリストならではの発想、挑戦、素敵です。


醸造も一通り見せていただいたのにちょっと興奮していて写真があまりありません、すいません。こちらは樽熟成のキュベ。


それからこちらはアンフォラ熟成※4。アンフォラは職人さん手作りの物で一つ一つ微妙に違うのでワインの熟成もそれぞれ同じものはないんだそうです。実際見てみると表面が少し湿って滲み出ているものもあればサラサラとしているものもあって、ワインの呼吸の量が違うのがわかります。酸素の浸透率が変わればもちろん熟成にも影響が出てくるという訳ですね、興味深いです。


で、こちらの貴重なワイン (ドメーヌ物、サンスフル※5、アンフォラ熟成、熟成中)を、なんとテイスティングさせていただきました。こちらで仕事をしている日本人のお二人もこれを飲むのは初めてだと仰る。なんと、そんなのいいんですか?「今日はスズキが来たからね。」ってなんだか解らないけどメチャクチャ恐縮です。注いでいただく時に思わず腰が低くなっちゃって、へへ〜、ってグラスを差し出したら笑われました、ジャパニーズスタイルです。へへ〜。


こちらがそのドメーヌ物 [ シャトー・ド・ベルアヴニール ボジョレーヴィラージュ ]
左のボトルがサンスフルです。サンスフルでもネガティブな香りなどは一切なく染みる味わいかつエレガント。

こちらテイスティングの時にまさかのブラインドきました。
畑もヴィンテージも同じ葡萄で醸造も同じ、ただ1つはサンスフルで1つは少量の酸化防止剤添加をしている。2つ出されて「サンスフルはどちらだ?」って。どちらも素晴らしく、凄く微妙な違いなので悩みました。ただ片方が完璧にフィックスしている様に感じたので少量のSO2添加かなと思い、少しあやうげなニュアンスを孕んでいると感じた方がサンスフルだと判断しました。ハズレです、修行足りませんね〜、言い訳をするなら醸造がうますぎです、酸化防止剤いらないです。


とっても、よくしていただいて最後に記念撮影を。
お二人ともカッコイイです。ありがとうございました。

で、「この後も何か予定があるのか?」「いや、今日はこれで終わりですね、あとはボーヌのホテルに戻るだけです。」「ディナーにしよう!」ってえー!?メチャクチャ嬉しいです!


シャトーの傍にある石造りのテーブルでパーティーになってしまいました。
天気も良く、葡萄畑とシャトーを眺めながらそのワインとお食事をいただくという究極のロケーション。


全てがオシャレです。フロリアンさんが次々と注いで下さる。


こちらでお仕事をされている皆さんも一緒に色々とお話をする事が出来ました。
ワインはこれからもっとナチュラルになっていくであろうという事、キュイジーヌもナチュラルであるべきだという事。僕もシェフとして[ナチュラルである]という事にこだわってその結果、素材も選び、自家製手作りの料理をしています。これからの未来、飲食はもっとナチュラルになるべきだと思っています。身体を作る元ですから。健全な食は健全な身体を作ります、また健全な素材は自然環境へのダメージも少ないと考えます。pipalの食事はフレンチがベースにはなっていますが、ジャンルの垣根はあまり重要だとは考えていなくて、大切なのはナチュラルであるという事だと思っています。それからもちろん美味しいという事、楽しいという事。
アロンソさんは次々と新しい挑戦をしていてどこか反骨心も感じさせます。若い頃パンクミュージックに傾倒していた僕としては、そういうところにも惹かれてしまいます。ナチュラルパンクスだ!(なんのこっちゃ)僕もブレない芯を持って次々チャレンジしていきたいなと改めて思う事が出来ました。


もう、食べて飲んで話して、とても楽しい時間をいただきました。本当に感謝です。
すっかり気持ち良くなっちゃって、最後に記念撮影を。
アロンソさん、フロリアンさん、それからご一緒していただいた皆様、本当にありがとうございました!


※1 ネゴシアン:原料となる葡萄を、栽培家から購入して醸造しワインを造る生産者。またそうして造られるワインをネゴシアンワインと呼びます。
※2 ドメーヌ:畑で葡萄の栽培も自身で行い、その葡萄を醸造してワインを造る生産者。またそうして造られるワインをドメーヌワインと呼びます。
※3フィロキセラ:1863年にアメリカから渡ってしまったと言われる害虫。当時フランスの葡萄樹は壊滅的な被害を受けました。アメリカ産の葡萄樹が被害を受けないという事が分かり、その後、根の部分はアメリカ産の葡萄樹を使用し接木してフランスの葡萄樹を栽培するようになりました。
※4アンフォラ:陶器の甕。古代ローマでワインを熟成保存するのに使われていました。木の樽よりも酸素が浸透しやすいと言われます。ナチュラルなワインの生産者で近年使用する方が増えています。
※5サンスフル:酸化防止剤(亜硫酸塩、SO2)無添加の意味。酸化防止剤無添加ワインをサンスフルワインと呼びます。


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2017-06-29-Thu

ソムリエ 鈴木亮介、生産者を訪ねて。 vol.3

3日目。
まずはリヨンの駅に行きレンタカーを借ります。


シトロエン。マニュアルです、マニュアル車なんて教習所以来な気がします。
まず発進でエンストしました(笑)。
さて、本日の一軒目はボジョレー、ブルイィ村の『ジャン・クロード・ラパリュ』の元を訪ねます!
住所がナビで表示されにくいので近所の交差点まで来たら電話してくださいとの事。
ナビはアイフォンです、[Les quatre croix]と交差点を入力していざ出発。


ボジョレーはもう葡萄畑だらけで何もなく、道が正しいのかかなり不安です。
アイフォンの指示通りに交差点に到着。周りに何軒か家はあるけど大丈夫かなここで。
ちょっとドキドキしつつ、電話したらすぐにジャン・クロード・ラパリュさんご本人が迎えに来てくれました。
まずは挨拶をさせていただいて、日本からのお土産も渡して。
ジャンさんすごく感じのいい方です。


早速、畑を案内していただきました。ナチュラルなワインを造るジャン・クロード・ラパリュ、もちろん農薬なんかは使用しません。土も柔らかく、生きている事を感じさせます。脇には花も咲いています。
栽培している葡萄はガメイとシャルドネ、それから少量のピノノワール。
樹齢の違う区画、キュベの違う区画、剪定方法、栽培方法など丁寧に教えてくださいました。


とにかく、景色が綺麗です。「あのあたりまでがブルイィのエリアだね。」なんて教えていただいたり。


で、急に「サクランボ食べるか?」って聞かれてビックリ。畑の真ん中に大きなサクランボの樹がありました。


その場で無造作にもぎ取って「もちろんオーガニックだよ。」って、これがメチャクチャ美味しい。


それから醸造所へ、とてもシンプルで素朴な感じの建物です。カワイイ。


発酵はステンレスタンクでセミマセラシオンカルボニック。余計な物は何も入れません。


プレスはこちらの垂直式プレス。今回の訪問で驚いたのが垂直式プレスを使用している生産者がかなり多かった事。空圧式のバルーンプレスが近年は主流だと聞いていたのですが、ナチュラルな生産者の方々は垂直式プレスの方が葡萄がねじれたりする事もなく真っ直ぐに圧力をかけられるので、より優しく余計なエグミなどを抽出する事なくプレス出来るという事なんだそうです。よりシンプルになっていってるんですね。


熟成は小樽を使用しています。世界的に有名な生産者なのに予想より随分小さな所で造っているんだなという印象を受けました。本当に手作りなんです。


キュベによってはアンフォラも使用。酸素の浸透率が高いので、よりまろやかな味わいに仕上がります。


それから一緒にテイスティングを。日本では見た事のないキュベなんかもありました。
ジャン・クロード・ラパリュのガメイは染みる味わいかつエキスが濃厚なんです。
シンプルで素朴だけど力強く、優しい。
テロワールも勿論ですが、その味わいには彼の人柄が現れているんだと感じました。


熟成中のワインもテイスティングさせていただいて、葡萄のポテンシャルとフィネスを感じます。


最後に記念撮影のツーショット。
とても素敵な方で丁寧にご対応いただきました。
ジャン・クロード・ラパリュ、本当にありがとうございました。




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2017-06-26-Mon

ソムリエ 鈴木亮介、生産者を訪ねて。 vol.2

旅、初日。
長いフライトを終えパリへ。
ホテルにチェックインを済ますと、もう夕暮れ時。



今回はマレ地区だったので近くのビストロで夕食を。


マレ地区は若い人が多くて、バーやピッツェリアが賑わっていました。
小瓶のビールを持った若者がダンスミュージックで盛り上がる姿は渋谷と同じですね。


翌朝TGVでリヨンへ。
世界有数の美食の街リヨン、リュミエール兄弟が世界で初めて映画を産み出した街でもあります。


ちょうど蚤の市なんかやってたりして。


街が綺麗です。そしてリヨンといえば巨匠ポールポギュース。


こんなところにもっ!(笑)


ポールポギュース市場なんてあるんですよ。マルシェはテンション上がります。
そして僕はワインも美食も大好きですが、もう一つ大好きなものが、


映画です、ここが『リュミエール美術館』


ここで映画が産まれたのかと思うと、何だか胸が熱くなります。


飲んで、食べて。


飲んで、食べて。あれ、生産者さんの話が出てきませんね?
そうなんですこの日は日曜日だし、誰とも約束をしていなくてのんびりしちゃいました。
すいません、翌日はボジョレー行きますから、
続きはまた次回。


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2017-06-25-Sun

ソムリエ 鈴木亮介、生産者を訪ねて。 vol.1

こんにちは、ソムリエの鈴木亮介です。
先日少し休みをいただいて、フランスへワインの生産者さんの元を訪ねる旅へ行って来ました。

10日間の日程で12名の生産者さんに会わせていただく事に。
訪ねて来たのはpipalでも扱わせていただいてるナチュラルな造りの素晴らしいヴィニュロン達ばかりです。
葡萄の栽培の事、ワインの醸造の事、それぞれのテロワールの事など
現地で実際に見て話を聞かせていただいて、それぞれのワインのキャラクターや方向性について、
またナチュラルであるという事について、より造詣を深める機会となりました。

多くの方にお会いして本当に快く迎え入れていただいて素敵な事がたくさんあったので、
ブログで連載みたいな形で何回かに分けてご紹介していきますね。

ワインに詳しい方も、そうではない方も楽しんで見ていただけたら幸いです。
それでは、行ってまいります。


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2017-06-23-Fri

価格改定のお知らせです。

この度、酒税法並びに酒類業組合法の改正がなされることとなりまして、
お酒の仕入れ値が上がる事となりました。
各種のお酒の仕入れがそれぞれ高くなるのですが、特にビールの値段が大幅に上がる事となりまして、
pipalでも生ビールの価格を改定せざるを得ない状況となってしまいました。
2017年7月1日より、
ハートランド生ビールがこれまでの600円から650円に変更とさせていただきます。
それに伴いまして、飲み放題2時間が2100円だったところも同時に2200円に変更とさせていただきます。
貸切パーティーがビュッフェと2時間飲み放題を付けてお一人様4500円からだったところが4600円からとなります。
他のお酒も仕入れ値は上がりますが、その他のメニューは価格変更なしで継続させていただきます。
お客様には大変ご迷惑をおかけして心苦しいところではございますが、何卒ご理解いただきますようお願いいたします。
申し訳ございません、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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2017-05-26-Fri

6.19.Mon.ランチメニュー

6/19(月)からのランチメニューの紹介です。
今週のランチメニューの紹介です。
パスタに「魚介のラグーソースとフレッシュトマトのスパゲッティー セルバチコのせ」が登場です。
旨味たっぷりの魚介を丁寧にラグーソースにしてほろ苦いセルバチコと合わせました。暑くなってきた今の時期にぴったりのパスタとなっております!!





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pipal (ピパル 渋谷宇田川)

03-3464-3857

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