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pipal 渋谷宇田川 スタッフブログ

2017-08-21-Mon

ソムリエ 鈴木亮介、生産者を訪ねて。 vol.9

さて、シャンパーニュ2軒目は自然派シャンパーニュの代名詞『ドラピエ』です。

自然派ワインの造り手達との食事は必ずドラピエから始まる。
世界三大テノールの一人「ルチアーノ・パヴァロッティ」は"喉に優しい"という理由で、歌う前にはドラピエのシャンパーニュを飲んでいたとか。(まじっすか?!)
自然と芸術を愛する人々から愛され、逸話も多いドラピエ。
僕も最近一番口にする機会が多いシャンパーニュはやっぱりドラピエです。

モングーからも近い位置、こちらもシャンパーニュの最南端ウルヴィル村。
たどり着くと一人の男性が出てきてくれて案内してくれた。


室内がゴージャスだ。おや、今まで訪ねてきたドメーヌとは少し違うな。
ドラピエは家族経営のドメーヌではあるが、今回の旅では一番の大手メゾンだ。
案内してくれた男性にいつものように自己紹介をしようとしたら、
「それは、後でミッシェル(現ドラピエ当主)が来るからその時に。こちらで座って待っていてください。」


この椅子に座って待つことに。椅子一つとっても格式高い。
男性が奥の部屋へ行ってしまった。
来る時にも見えたがどうやらこちらの建物は一部改修工事中らしく、遠くに工事の音が聞こえる。
暫く一人になってしまったので、周りを見渡す。


窓の外には庭が。


僕の椅子の前の壁には小物などがディスプレイされていた。
おや、このボトルは、、


で、でかい。メルキゼデック※1 かな?
先ほどの男性が戻ってきた。
「ミッシェルはミーティングがもう少しかかりそうだから先に醸造所を案内します。」
「ありがとうございます、是非。」


螺旋階段を下って地下の醸造所へ。


ここでは箱詰めかな、大勢働いている。


やはり、ちょっと今まで訪ねてきたドメーヌとは様相が違うな。


ステンレスタンク。


大きな樽がたくさんある。


なんていうかリッチだ。
こちらもグラヴィティシステムを採用していてどんどん地下へ。


ピュピトル※2 ですね、ここはクラシック。


瓶内二次発酵※3 用のリキュール。かなりの年代物みたいだ。


ここでは動瓶※4 が終わって瓶口に澱が溜まったボトルを、


マシンにセット。
右に写り込んでいるのが先ほどから案内してくれている男性です。


ボトルは運ばれていき、澱の溜まった瓶口の部分が急冷されます。


わかりますか、便口3cmくらいの部分の中身が凍っています。


で、こちらのマシンでデゴルジュマン※5。抜栓して凍った澱の部分を取り出す訳ですね。


で、こちらのマシンでドザージュ※6。
わかりますかね、左上の赤い液体がリキュールで右下中央にぶら下げられているボトルに注入されています。先ほどの行程で澱を抜いて内容量が減った分を補足するとともに、酸味の強いシャンパーニュに甘味を足して味のバランスを良くする訳です。
それからコルクを打栓する行程まで全て見せていただき、また先ほどの椅子に戻ります。


「テイスティングに参りましょう。」
先ほどからの男性が持ってきてくれたのが、いきなりのロゼ、ドザージュゼロ。
ずっと思っていたのですが、この男性のシャツが可愛い。


もちろん美味しい、完璧な味わいです。
「ミッシェルは新しいキュベのエチケットのミーティングをしています、もう少しかかりそうなので部屋に入ってテイスティングを続けましょう。」
え、ミーティング中なのに部屋に入るの?


ミーティング中の応接室の隅のテーブルに案内されました。
まじか、すごい光景です。格式高いゴージャスな部屋、デザイナー達とのミーティング、そして当主ミッシェルが何故か椅子に正座。


「こちらは、ドラピエ・シャルルドゴール。第18代大統領の名前の特別キュベです。」
「おぉ、。」


「こちらはミレジム、2008。」
「おぉ、。」


で、次々とテイスティングをしていきます。
ミーテイングが終わったミッシェルが呼んでくれてご挨拶。いつもの自己紹介をフランス語でさせていただき、デザイナーさんやミッシェルのお父さん(先代当主)ともご挨拶。


そして記念撮影を。
左が当主ミッシェル・ドラピエ氏。中央はその父7代目当主のアンドレ・ドラピエ氏。
とっても嬉しい一枚です。
ミッシェル氏がもっとゆっくり飲んで行ってと言ってくださる。
「でも今日中にトロワからストラスブールへの電車に乗らなきゃいけないんです。」
「じゃあ、テイスティングした中で気に入ったものをもう一杯だけでも。」
「ありがとうございます。それでは、シャルルドゴールを、、。」
お言葉に甘えてお代わりまで頂いて、帰ろうとすると。
「今日は来てくれてありがとう。こちらはお礼のプレゼントです。」
「ミレジム、2008!いいんですか!?」
「もちろんです。ありがとう。」
「ありがとうございます。今日はお会いできて光栄です。」

ビッグメゾンの貫禄を見た気がします。
ドラピエの皆様、ミッシェルさん、本当にありがとうございました。

ちなみにストラスブール行きの電車には乗り遅れ、予定変更。
ストラスブールのホテルをキャンセルし、トロアに一泊する事になりました。
調子に乗ってのんびりし過ぎた〜。



※1 メルキゼデック:シャンパーニュの瓶はサイズにより呼び方があります。メルキゼデックは30L入りで通常のワインの40本分の大きさ。ちなみに、普通のサイズがブテイユ750ml。次に大きい物がマグナム1500mlで2本分のサイズ。
※2 ピュピトル:瓶内二次発酵したシャンパーニュの澱をボトルの口の方に溜めるために使う穴の空いた板。これにボトルを挿して逆さまに近づけながら回して行き静かに澱を口の方に持って行く。
※3 瓶内二次発酵:シャンパンを造る行程は複雑で、一度普通のワインを作ります。その発酵を終えたワインにリキュール(糖分)と酵母を添加して王冠で蓋をします。そして瓶の中でもう一度発酵をさせるのです。その行程の事を瓶内二次発酵と呼びます。瓶の中で密閉されているので発生した二酸化炭素は逃げ場がなく、液体に溶け込みます。そして発泡性のシャンパーニュが出来上がるのです。
※4 動瓶:瓶をピュピトルに挿して倒立させ、瓶口に澱を溜めるために瓶を揺らしながら少しずつ回していく作業の事。
※5 デゴルジュマン:澱抜き。瓶口に溜まった澱を凍らせて抜栓し、取り出す。
※6 ドザージュ:デゴルジュマンによって目減りした分を補う際に糖分を添加する事。この時に使用するリキュールを「門出のリキュール(リクール・デクスペディション)」と呼びます。糖分添加しないシャンパーニュはドザージュゼロとなります。
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