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pipal 渋谷宇田川 スタッフブログ

2017-07-05-Wed

ソムリエ 鈴木亮介、生産者を訪ねて。 vol.5

4日目、今日は3軒の生産者さんとアポイントを頂いていてスケジュールがびっしり。

まずはボジョレー、モルゴン※1、あの『マルセル・ラピエール』の元へ!
自然派ワインが好きな方ならご存知だとは思いますが、
フランス自然派ワインの父と言われるマルセル・ラピエール、彼のワインを飲んで自然派ワインに目覚めたという方も大勢います。
昨日会ったシリル・アロンソもマルセル・ラピエールの『モルゴン』を飲んで、衝撃的で自然派ワイン造りを始めたんだとか。
神なんて言う人もいるくらい偉大な人物であり、そのワインは偉大なのです。
前回のブログで少し触れた自然派ワインの祖『ジュールショベ』はマルセルの師匠にあたります。自然派ワインの生産者の系譜はとても興味深いです。

そのマルセルがこの世を去ってしまったのが2010年。そのニュースに世界中が悲しみました。
そしてラピエール家のワイン造りは長男マチュー・ラピエールが担うようになりました。
偉大な父の後を継ぎ更なる進化を続けるマチュー。
神の子マチュー・ラピエールに会いに行くという事で僕の高揚感は止まりません。ドキドキ、ドキドキ。


オフィスに到着、なんて気持ちの良いところなんでしょう。天気も最高です。
最初に出迎えてくれたのは、


犬でした。木陰で休憩、気持ち良さそうです。
オフィスに通して頂いて恒例のご挨拶と自己紹介をさせていただいて、
僕はソムリエでありシェフでもあると伝えると、「僕も前はシェフだったんだよ。」とマチュー、とっても気さくな方です。
「ワイン造りと料理は似てるよ。同じだから。」と肩をポンと叩いてくれるマチュー。僕の緊張がバレていた様で、マチュー格好いいです。もう僕の心の中ではアニキ!ってなってます(笑)
「早速畑に行こうか、ちょっと離れてるから車で着いてきて。」「ハイッ!」


車にはあの『レザン ゴーロワ』※2のエチケット※3の見慣れたイラストが。赤いバン、カワイイです。


車で畑と醸造所のある場所へ。


畑にはマルセル・ラピエールの文字が。おおぉ。


畑へ、


区画の事、栽培の事など丁寧に教えてくださいます。


こちらのガメイもやはり垣根仕立ての栽培ですね。畑の手入れがしやすい様に通路となる側には枝葉が広がらない様にしてあります。


幹の部分を見ると樹齢の高さが伺えます。季節的にはちょうどフロレゾン※4が終わり、ヌエゾン※5が始まったタイミングです。小さな葡萄がたくさん付いていました。


とっても気持ちの良いところです。で、案内していただいている途中から、


シカゴのレストランの方々も見学に来ていて合流しました。8名程のツアーで来ていてこちらのワインが世界中で愛されている事がわかります。
一通り僕は案内していただいた後だったので「同じ話になっちゃうけどまた聞く?」「イエス、オフコース!」何度でも聞きたいです。


それから醸造所へ。


ちょっと写真わかりにくくて申し訳ないのですが、醸造所の天井が迫力あるアートになってます。情熱を感じます。


こちらは発酵用のステンレスタンク。クリーンですね。


プレスはこちらの巨大な垂直式プレス※6。ここでもまた垂直式でした。そして傍にあるのは木製の発酵樽。マセラシオンカルボニック※7を行うため蓋がびっちりと密閉出来るようになっています。
樽やタンクからプレス機への移動はポンプを使わずに桶で手作業で汲むんだそうです。めちゃくちゃ重労働です、それでもポンプなどでワインへダメージを与えない為の作業なんですね。「一人で全部やるんですか?」「いやいや、一人じゃないよ、さすがに、やめてくれよ。」ってそりゃそーだ、失礼しました。


それから、セラーへ。入口には見慣れたボトル達が。


半地下のセラーはヒンヤリとして薄暗く、静寂が張り詰めた空気で背筋が伸びるような気になります。古樽で熟成中のワイン達がずらり。


いよいよテイスティング。熟成中のモルゴンを樽からいただけるなんて感激です。


今日は人数が多いので順番待ち。次々とヴィンテージ※8違いや、それぞれのキュベを解説付きでテイスティングです。贅沢ですね。テイスティングの間に妹さんのカミーユ・ラピエールも来てくれました。セラーが寒いのでパーカー羽織ってました、さりげなくオシャレです。


シカゴの皆さんが帰られるので、もうこれでおしまいかなと思ったら「ちょっと待ってて、もう少し飲もう。」って嬉しいです!
その後は二人で暫くテイスティングさせていただいて、レザン ゴーロワをテイスティングしたところで聞きたかった質問を、「レザン ゴーロワはバックインボックス※9もリリースしているけど、ボトルとバックインボックスでは違いは現れないものですか?」「味わいは全く変わらないよ、そして環境に優しいという点ではバックインボックスはとても優れているんだ。ただ何年も寝かせておくというのには向いてないからその年に飲んじゃう方がいいかな。」との事。バックインボックスは僕もとてもいい事だと思っていて大賛成なので、嬉しかったです。
とってもいい時間をいただいて最後はやっぱり、


記念撮影を、
マチュー・ラピエールとパチリ。
で、終わらずに、


妹さんのカミーユ・ラピエールともパチリ。
ドキドキして訪問した『マルセル・ラピエール』。
神の子マチューはとっても気さくなナイスガイでした。
本当にありがとうございました!



※1モルゴン:ボジョレー地方、モルゴン村。モルゴンで作られて認証されているワインもA.O.C.モルゴンなのでモルゴンと呼ばれる。ワインは土地の個性を大切にしているので、産地と呼び名が同じになる事が多いです。
※2レザン ゴーロワ:マルセル・ラピエールのワイン『モルゴン』ともう一つのカジュアルラインが『レザン ゴーロワ』というワイン。
※3エチケット:ワインボトルに貼ってあるラベルの事。自然派ワインのエチケットはカワイイものが多いのでボトルを眺めるだけでも楽しいです。
※4フロレゾン:開花の意味。花の咲く時期をフロレゾンと呼びます。
※5ヌエゾン:結実の意味。葡萄の実がなる時期をヌエゾンと呼びます。
※6垂直式プレス:ワインを造る過程で葡萄の実を搾って液体を取り出すための圧搾機には様々なタイプがありますが、こちらはただ真っ直ぐに圧し潰すというシンプルなタイプ。1000年も前から構造は変わらないと言います。
※7マセラシオンカルボニック:ワインのアルコール発酵の方法の一つ。葡萄をそのままタンクなどに入れて、タンク内を炭酸ガスで充満させて細胞内発酵させる方法。主にボジョレー地区で行われる。ボジョレーヌーヴォーはこちらの方法。
※7ヴィンテージ:その葡萄が栽培された年。今畑に育っている葡萄から造られるワインは2017ヴィンテージのワインという事になります。発売が来年でも再来年でも。
※9バックインボックス:ボトルではなく箱に入って売られるワインの事。箱の中にはビニールのバックが入っていて飲みかけでもバック内は真空に保たれます。ゴミも少なく軽量で流通もしやすい。

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